子どもが不登校になると、母親としては「原因は自分にあるのではないか」と不安に感じるものです。
色々なアプローチをしても一向に改善される気配がなかったり、自分を責めて眠れなくなったり…。どうして良いのか分からず、長い間苦しんできたと思います。
ここでは、子どもが不登校になった原因は母親にあると思っている人に向けて、そうではない理由、どうしたら良いのかなどについてお話します。
解決のためのヒントにしてください。
子どもは少なからず親の影響を受けますが、最終的に判断を下しているのは子ども自身です。全てが母親のせいになるという考えは極論です。
不登校の原因が母親にあると仮定した場合、兄弟・姉妹は全て同じ道をたどることになります。
また、不登校の子どもの母親はみんな同じ育て方をしたとも言えます。そうではありませんよね。
そもそも、母親が原因で不登校になってしまうほど、子どもにとって影響力が強いのなら、登校させるのも簡単にできるはずです。
だから、無理やり子どもを閉じ込めているのではない限り、不登校になる原因が母親な訳はないのです。
私は3人兄弟の長男です。私と三男は大学まで行きましたが、次男は中学2年生で不登校になりました。
と言っても、ひきこもるタイプの不登校ではなく、いわゆる不良になってしまったことで不登校になりました。(今は父親として立派に働いて家族を養っています)
親のせいで次男が不登校になったとしたら、私と三男はどうして大学まで行けたのでしょうか。
私の親は子どもの自由を尊重する人。いわゆる放任主義です。進学のことに口出しされたことはありませんし、中学生からは外出制限、門限などもありませんでした。
人に迷惑をかけないのであれば、基本的にノータッチでのびのび過ごさせてもらいました。
現在、同じ親に同じように育てられた、血の繋がった兄弟なのに、趣味も仕事も生活環境も全然バラバラ。
行動を制限したり、何かを強制的にやらせるとか、極端な価値観を植え付けるなどでないなら、母親が原因で子どもの人生に大きく影響するというのはないと私は考えます。
ちなみに、本当か分からないけど、不登校になった理由は「尊敬する友達が不良になったから」だそうです。
辛いという気持ちを放っておくと、子どもはもちろん、あなた自身にも悪影響を及ぼしてしまいます。それに、辛いをそのままにしていても、問題解決ができません。
それどころか、より悪い方へ行くリスクの方が高いです。ですから、あなたが抱えている辛いを改善するために、やるべきこと…指針を見つけるところから始めてみましょう。
と言っても、現時点では何をして良いのかわからなくなっていると思います。
何をして良いのかわからなくなっている時は、大きく分けて2つのパターンが考えられます。
そんな時にぜひやって見て欲しいのは、自分がやりたいことを1つに絞って行動することです。
色々なことをやっても効果がなかったという人もこれから紹介することをやってみたら、やるべきことが分かるようになるでしょう。
まず、あなたが辛いと考えていることをいくつか書き出してみてください。この時に気を付けて欲しいのは善悪を一切考えないことです。
例えば、「本当は子どものことなんて忘れて自分の好きなことをしたい」と思うのなら、隠そうとしないではっきり書いてください。書き出した内容は人に見せなくても良いものですから。
書き出しをする目的は、自分の本当の気持ち(考え方や価値観)を知ること。
自分の悪い(と思っている)部分を知ると、最初はショックを受けるかもしれません。なんて母親だとか、人として最低だと思うかもしれません。
ですが、自分の本当の気持ちに気が付くだけで不思議とスッキリします。だから、善悪はいったん置いておいて思ったまんま書き出してみてください。
善悪を考えてしまうと、自分自身を偽ってしまって自分の本心に気付かなかったり、自分を責めてしまう原因になってしまいます。
書き出す際には、思っていることをどんどん書いてみてください。
なかなか出てこないという場合、どんな時に不安を感じたのか、不快になったのか、その時の状況を思い出してみてください。
一度思い出すことができたら、芋づる式に思い出すことができるでしょう。
書き出したものの中で、一番感情が揺さぶられるものは何ですか?
悲しい気持ちになるだけでなく、怒りを感じるというのも、それだけ自分が意識しているからだと言えます。
何を見ても感情が揺さぶられることがないという場合、無意識に目が行ってしまう言葉、あるいは単語はないか自分を観察してみてください。
すると、自分が感情を揺さぶられることが分かってくると思います。そこがあなたにとって、核となる部分になります。
例えば、「周りの目が気になる」だったのなら、それがあなたの本心だと仮定しておいてください。(仮定という言葉を使っているのは、断定するのが不快に感じる場合もあるからです)
自分の本心を仮定することで、その問題とどう向き合うのかが分かってきます。
少し酷な言い方になってしまいますが、あなたが辛いと感じていること(問題)はあなた自身の課題です。
「え?不登校という問題を起こしているのは子どもの方なのに?」と思うかもしれません。実際、子どもが不登校にさえならなければ、あなたは悩むこともなかったわけですから。
ですが、不登校を問題だと思っているのはあなたの価値観であって、万人が問題だと思っている訳ではありません。
私の弟(次男)は中二から不登校になったと言いました。その時、私の父親が言っていたのは「高校に行かないで3年間働けば、その分社会人としての経験で差をつけることができる」です。
母親も次男が不登校であることに悩んでいる様子は一切ありませんでした。少なくとも私の前では。
何が言いたいのかというと、「子どもが学校に行かなくて『困っている』」のはあなただとちゃんと自覚して欲しいということです。
なぜ自覚する必要があるのかというと、解消できる手段が他人任せになってしまうからです。
あなたの『辛い』を解消できるのが子どもだけであるなら、子どもが変わらない限りずっと辛いままです。子どもにとってもそれは重すぎます。
自分の課題だと認識できてはじめて、『辛い』を解消できるカギを手にすることができるのです。
自分が一番困っている、あるいは辛いと感じている部分を探す方法を伝えました。
そこで分かった自分の気持ちをより深く考えていくことで、どうしたら良いのかがわかってきます。やり方は簡単。なぜ?なんで?どうやって?などを使って、具体的になるまで問いかけ続けることです。
例えば、子どもが学校に行かないのが辛いということが分かったとします。次は、なんで子どもが学校に行かないと辛いのかについて考えます。
出てきた答えが「子どもの将来が心配だから」だった場合は、なんで?と問いかけます。
子どもの将来が心配というのもまだ抽象的です。お金?仕事?人付き合い?健康?たくさんあります。
仕事が見つかるかが心配と分かったら、不登校と仕事がどれくらい結びつくのかを調べてみる。学歴なんて社会人になって数年も経てばホコリを被ります。
知識・技術・スキル、資格さえあれば、働き口が見つかる可能性は上がります。そもそも、スキルも経験も不要の仕事なんて世の中に溢れています。
こんな感じで、自分が不安に感じていることを明確にしていきます。誰に聞かれたとしても、一言で「○○が心配」と答えられるくらいまで考えていた方が良いです。
そうやって細かく考えていくと、どうやったら辛いという気持ちを解消できるのかが見えてくるでしょう。
そして、見えてきたら辛いを解消するために、勝手に体が動いてくれるでしょう。
行動を起こした時、行動ばかりに目を向けがちですが、本当に考えなければならないのは、その行動を起こすことで何を訴えたかったのかです。
行動だけを変えたところで、根本的なところを解決してない限り、他のところで何かしら問題が起こるだけです。
人生経験の少ない子どもは、自分の気持ちを上手に表現できないため、行動を起こすことで何かを訴えてくることがあります。
これに関しては、本人が意図的にやっているという訳ではなく、無意識のうちにやっていることが多いです。
不登校という形でなかったとしても、お腹が痛いと言って動けなくなったり、小さい子なら理由もわからず急に泣き出してしまうなんてこともあるでしょう。
行動で示すということは、言葉にできない事情があるか、そもそも自分の本心に気が付いていないという可能性が考えられます。
なので、問い詰めたとしても答えてくれることは稀です。
不登校になる理由は人によって違います。生活を共にしている母親と言えども、不登校になった理由については心当たりがないのも珍しくありません。
不登校になる前に、家庭で何かあったのならある程度あたりを付けることができると思いますが…。なにも心当たりがないのは辛いと思います。
子どもは、見ていないようでよく親のことを見ています。
例えば、塾に通って欲しそうにしたり、もっと勉強で良い点を取って欲しそうにしたり、悪い点を取った時に不満そうにしたり。
子どもは敏感に察知します。
もしかしたら、「勉強はすごく嫌いなのにお母さんは良い点を取って欲しそうにする…。どうせ悪い点しか取れないんだから学校行きたくない」と思ってしまったかもしれません。
親の希望を叶えようとする気持ちと、それが叶わない現実というのは子どもにとってはすごく辛いことです。
直接あなたの考えを伝えていなかったとしても、態度に出ていたのかもしれません。
もしくは、たまたまあなたの体調悪くて、それを見た子どもが勘違いしてしまったという可能性もゼロではありません。
あらゆる可能性を考えて、子どもが何を訴えたいのかを探してみてください。
家庭の問題ではなく、学校で何かあったことで不登校になることもあります。
調べてみると、不登校の原因になっている多くは、いじめや嫌がらせ、友達とのケンカなどが半数以上とのこと。他にも、先輩・後輩・先生との関係が上手くいかないというケースも多いです。
また、勉強がきっかけになっているパターンも多いようです。
学校で何かあったことがきっかけなら、母親に相談するのが恥ずかしいとか、相談すると親に迷惑がかかるかもという思いから、理由を話せないのかもしれません。
人は何か問題が起こった時、元の状態に戻すことが解決策だと思いがちですが、そうとは言えません。特に、不登校のような精神的なことが原因であるなら尚更です。
根っこにあるものを解決・改善しない限り、例え子どもが勇気を出して学校に通うようになったとしても、どこかに必ずひずみが出てきます。
確かに立ち向かうことで解決できることもあります。ですが、根本的な部分を見直すことなく、ただがむしゃらに頑張ったところで、問題が大きくなる可能性の方が高いです。
例えば、勉強するのは好きだけど決まった時間に決まったことをするのが苦手だから学校に行きたくないという人もいます。
それなのに、学校に行かせることを目的にしてしまったら、結局また辛い思いをするだけです。それなら、通信制高校に通わせるという方法もあります。
また、勉強するのが苦痛というパターンも考えられます。その場合は、学校に通わせるのはもちろん、通信制高校に通わせるのも向いていません。
今後どうやって生きていきたいのかを、ともに模索していく必要があります。
あなたの目的(望み)は何ですか?
自分と向き合った人はすでに気付いていると思います。それは、子どもが幸せになることではないでしょうか。
不登校になったことを不安に思うのも、母親である自分が原因だと思うのも、辛そうな子どもを何とかしたい、また笑顔で生きて欲しいと願うからだと思います。
なので、不登校になった→問題を解決したい→元に戻ればいい→学校に通わせよう!なんて、簡単に答えを出すのだけはやめてください。
結果として登校するようになるかもしれませんが、目的は子どもが元気に、幸せに生きていくこと。これだけは忘れないようにしてください。
それさえ忘れなければ、きっと子どもが心を開いてくれる日も近いと思います。
心理学には、ピグマリオン効果というものがあります。
ピグマリオン効果を簡単に説明すると、人は期待されるとその通りの結果を出す傾向にあるという意味です。
こんな実験が行われました。
成績の良くない生徒の教師に「この生徒たちは優れている」と伝え、成績の良い生徒の教師に「この生徒たちは成績が良くない」と伝えて授業を行ってもらう。
その結果、優れていると伝えられた方は成績が伸び、逆に成績が良くないと伝えられた方が成績が落ちたそうです。
心配する不安を感じるというのは、信じていないとも言えます。言い換えるなら、あなたはきっとこの問題を乗り越えることはできないと言外に伝えているようなものです。
では、そう感じた方はどうなるのか、というと実際にその問題に立ち向かう気力がなくなり、その通りになってしまいます。
だからこそ、子どもを信じることが大切なのです。
心から信じるようになると、あなたの態度や言葉が変わるので、子どもも敏感にそれを感じ取り、前に向かって進む力を発揮できるようになるでしょう。
信じることが大事だと分かっても、「じゃあ信じる!」とはなかなか行かないものです。長いこと子どもが不登校で悩んでいたのなら尚更です。
最初に伝えておきますが、信じるとは相手がもたらすものではなくあなたが自分で育てるものです。
裏切られたら信じられなくなる、子どもが何かに失敗して不登校になった。確かにこれらの出来事は信じるという気持ちが揺らいでしまうでしょう。人によってはこれで信じられなくなることもあります。
ですが、「だから信じない」と決めているのは紛れもなく自分自身です。なぜなら、それでも信じられるという人もいるからです。
ここで「じゃあ自分が悪いんだ」とは思わないでください。あなたの中にも信じるという部分が眠っているからです。
子どもが今日も学校に行かなかった…という時、がっかりしたり「やっぱりな」と思ったことはありません。それは子どものことを信じている証拠です。
人には信じたい自分と信じたくない自分がいます。信じると、その通りにならなかった時に心が傷ついてしまうから、心を守るために信じない自分を作り出します。
本当に信じていないのなら、原因が自分にあるのかもしれないとも思いませんし、どうでも良くなるからです。
何とかしたいと思っているのは、裏返せば頑張ればどうにかなるという期待の表れでもあるからです。それって信じている以外の何物でもありません。
なので、あなたがやるべきことを信じる気持ちを育てることです。
できたかできていないか、成功したか失敗したかで考えていると、小さな成長を見逃してしまうことが多々あります。
例えば、話をする時間が長くなった、より深い部分まで話すようになった、部屋にこもる時間が少し短くなったなど、何でも良いから成長を探してみてください。
そうやって、信じる気持ちを育て続けてください。信じられた子どもは、きっとその期待に応えようと頑張ってくれるはずですから。
世代が変われば考え方もガラッと変わります。あなたも、自分の親と意見が合わなくてケンカになった、あるいや不満を持ったことは1度や2度ではないはずです。
少し前まで『当たり前』だったことは、今では古い考え方になっていたり。
分かりやすい例で言えば携帯電話やネットです。今では簡単に個人同士で繋がることができるようになったり、ちょっと調べれば簡単に情報を集められます。
一昔前なら、相手の家に電話をかける必要があって誰が出るかドキドキしたものです。
目には見えて分かりにくくても、考え方や価値観だってどんどん変わっています。
昭和22年ごろにはこんな立て看板があったそうです。
今では、個人の選択の自由が主張される時代になりました。親の義務なんて言おうものなら、頭の固い人間だと思われるでしょう。
価値観の違うのは仕方がないにしても、違うことを押し付けてしまうと、それが子どもの精神を追い詰めてしまうことがあります。
だから、子どもの価値観を受け入れてあげることが、前に向かって進む力を与えることに繋がります。
受け入れると考えると難しく感じるかもしれません。ですが、大事なことさえ押さえていれば難しくはありません。
それは、子どもの価値観を否定しないだけです。
例え子どもがとんでもないことを言ったとしても、「これが我が子の考え方なんだな」と客観的に思うように心掛けてください。
他に言葉が出てこないのなら、「そうなんだ」とだけ言ってあげましょう。たとえおかしい考え方だったとしても、それは本人が一番分かっているはずです。
自分と向き合う時間はたくさんあるので、そのうち自分の本当の気持ちに気が付いたり、よりよく生きていくためにどうしたら良いのかについて分かってくるはずです。
子どもと一緒に過ごす時間を作っていますか?
ゆっくり会話をするのも良いですが、一緒に遊ぶ時間を作るなど、交流する時間を持つのをおすすめします。
トランプを使ったゲームをするのも面白いですし、100均にある子ども用の遊びも案外夢中になれますよ。
また、家族でキャンプに行ったり、釣りをするのも良いでしょう。一緒に何かをするというのは、信頼関係を築く上ではすごく効果的なことですから。
交流を持つ時のポイントは、不登校を話題にしないこと。あなたにとっては気になる部分というか、よく話し合っておきたい部分だと思いますが、子どもにとっては触れられたくない部分です。
不登校の話をしてしまうと、警戒されて距離を置かれます。もちろん、子どもの方から話題にしてくる分には問題ありません。
ただし、その時も責めるような言い方をしたり、「こうしなさい」みたいな言い方にならないように注意する必要があります。
時間はかかるかもしれませんが、少しずつ子どもとの心の距離を縮めていってください。
子育てに正解はありません。子どもの性格によっても関わり方を変える必要がありますし、言い方や伝えるタイミングなどによっても結果が変わるからです。
ここで紹介していることは正解ではありません。あくまでアドバイスとして捉えて行動してみてください。
子どものことを一番理解しているのは、あなたなのですから。
色々試してみたり、関わり方を変えてみたり、自分と向き合ったりしながら、ベストを探してみてください。
・何をしたくなかったのか?