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2年間嘔吐恐怖症で苦しんだ私が、吐くことなく自力で克服した方法

嘔吐恐怖症 克服
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嘔吐恐怖症。

世の中にそんな恐怖症があると知ったのは、私が吐き気に強い恐怖心を抱き、外出もできなくなったことがきっかけでした。

当時26歳だった私は、今まで何度か吐き気に襲われた経験もあれば、実際に吐いた経験もあり、これまでは「気分が悪くなるのが苦手だなぁ」と思っていたくらいだったのに、ある時突然強く恐怖を感じたのです。

苦手どころか、恐怖を感じてしまったのはその時が始めてで、その日から2年近く、吐き気に苦しめられることになったのですが、今では大分克服することができました。

ここでは、私が吐き気に苦しめられていた時期の体験談、そしてどうやって自力で克服したのかをお話しします。

食べるのが怖くなった日

ある日、餃子をあらゆる調理法で作って食べようという企画を立て、たくさんの餃子を食べていました。水餃子、揚げ餃子、焼き餃子というように。

お腹が空いていたこともあって、それをバクバク食べて、その後にゆっくりしていた時、それは突然訪れました。

最初は「あ~ちょっと食べ過ぎて気分悪いなぁ」くらいだったのですが、「ヤバい…もう吐くかも…」というところまできてしまったのです。

元々吐くのが苦手で、3年ほど前に食中毒で吐いた時も全身が震えが止まりませんでした。この時も吐くかもと思った時から怖くなり、震えていました。

3年前は大丈夫だったのに、なぜか餃子の日から、吐くことに対する恐怖心が強くなり、気分が悪くなる可能性があるのなら、何も食べない方が良いと思うようになったのです。

本当に不思議だったのが、実際に吐いた3年前は嘔吐恐怖症になっていないのに、吐いていない餃子の日に怖くなったということでした。

その理由は後に分かりましたが、人の心は体と密接に関係しているんだなぁと、人体の不思議に感心しました。理由については後ほど。

その日から絶食をして2日

絶食した日

食べるのが怖くなってから2日間、水以外何も口にしていませんでした。この時に私が考えたのは実に短絡的で、「胃に何も入っていなければ吐くことはないだろう」でした。

怖いという気持ちが強すぎたのか、それとも吐くことのない安心感があるからか空腹感を全く感じなかったのを今でも覚えています。

今まで普通に食べて過ごしていたのに、ある日突然食べるのが怖くなるというのは、今考えたら不思議ですね。むしろ、私はすぐにお腹が空くタイプで間食も我慢できないくらいです。

そんな私が、全く空腹感がないというのは本当におかしいことだったのに、当時はそんなことを考えられないくらい怯えていたのですが…。

餃子の日から2日後に、ようやく食べ物を口にしました。

なぜ2日後に食べたのかというのは、心配した同居人が「少しでも良いから食べて」とほとんど無理やり、食べさせてくれたからです。それがなければ、もっと長い期間絶食し続けていたのかもしれません。

食べたと言っても、梅干し1個と漬物、一口分のご飯くらいでしたけどね(^^;

それ以上は怖くて食べられませんでしたが、その日から毎食1口で食べられるくらいのおかず、1口分のご飯という量だけ食べ続けました。

その結果、3ヶ月くらいで10kg痩せました。元々少し太り気味だったのですが、食べるのが怖くなってからどんどん体重が落ちていき、やせ気味にまでなりました。

同居人からは、「体が細くなったせいで顔が大きく見える」と言われました。不健康な痩せ方をしてしまったからでしょう。

嘔吐恐怖症ではなく、吐き気恐怖症?

ネットで同じような症状の人がいないか調べてみた時、嘔吐恐怖症というのを見つけました。

ひどい人だと、他の人が気分悪そうに口を押さえただけで動悸・めまい・震えなどが起こったり、外で水をこぼす音を聞いて震えたという人もいました。

私の場合はそこまでの恐怖心は感じなかったのですが、常に「気分が悪くなるかも」とか「吐くんじゃないか」という不安があり、食事するのはもちろん、「外にいる時に気分悪くなったらどうしよう」と、外出するのも怖くなりました。

その恐怖心が緊張を生み、食後はずっと吐き気に悩まされていました。

この時に思ったのですが、私が怖いのは吐くことではなく、吐き気がすごくイヤなんじゃないかということでした。

もちろん、吐くのもかなり恐いのですが、それ以上に吐くかもという恐怖をずっと感じる『吐き気』が怖いのだと気がついた時、自分の場合は吐き気恐怖症なのではないかと思ったのです。

ただ、よくよく調べてみると、吐き気を怖がるのも嘔吐恐怖症のひとつだそうですね。

毎食後に気分が悪くなるということで、上記で言ったように1口で食べられる量のおかず+ご飯しか食べず、食後はすぐに眠っていました。眠ることで気分が悪いくなる恐怖から逃げようと考えたからです。

少し起きたら食事を摂り、食事をしたら眠り…のループで、気が付いたら2年が経っていました。本当にその間の出来事はあんまり覚えていません。

それくらい悩んでいた私が、どうやって克服できたのかについてその方法を紹介します。

私が克服できた方法

2年間、毎日のように感じる吐き気に、生きていくのも辛くなっていた私ですが、毎日の小さな行動の積み重ねによって、少しずつ克服できました。

早く何とかしたい!という気持ちがあるかもしれませんが、地道に努力を積み重ねていくのが一番の近道です。私自身、急がなければ2年と言わずもっと早いうちに何とかなったかもしれないと公開しています。

それを踏まえて、私が克服できた方法を参考にしてください。

違うことに意識を向ける

怖いとか、吐き気がするというところに意識を向けると、どんどん怖いという意識に集中してしまいます。

これは、痛みを感じるときも同じですが、痛いところに意識を集中させると、余計強い痛みを感じるもの。別のことを考えていると痛みから気をそらすことができます。

ですから、怖い部分から意識を逸らすことが大切です。

私がやった方法は以下の2つ。

音楽を口ずさむ

音楽に身を委ねることで、吐き気から意識を逸らすことができました。

この時のポイントは、自分が好きな音楽であることはもちろん、歌詞を意識することです。

どんな言葉なのか、どんな内容なのかに意識すれば、そこに意識の大半が向きますので、不思議と吐き気も和らいでくれました。

好きなセリフを心の中で唱える

漫画やゲーム、映画、ドラマなど、好きなセリフがあれば、それを暗記して心の中で唱えるのも効果的です。

できれば少し長めの方が良いです。文章を思い出すというのは、結構強く意識を向けなければならないので、吐き気から意識を逸らせます。

この方法も結構重宝しました。

私は寝る前とかは、どうしても怖くなってしまいますので、何度も同じセリフを唱え続けて眠りに落ちるという流れを繰り返していました。

ちなみに、私が唱えていた台詞は、『涼宮ハルヒの憂鬱』のキョンの最初の長台詞(サンタクロースをいつまで~)です。全て覚えていたわけではありませんが…。

外出する機会を増やす

私は、「外出している時に吐き気が来たら…」そう思ったら、すごく怖くなって、外出するのを避けていた時期がありました。

外出時は基本、自家用車で出かけるのですが、車から降りるの怖くて、ちょっと車から遠ざかったらすぐに不安になっていました。

買い物をする時も、お店の出入口から近くに駐車できないとすごく怖かったです。

ですが、それでも外出する回数を増やしてみたり、いつもより遠くまで歩いて行ってみたりすることで、徐々に自信がついてくると同時に、症状も改善していきました。

外に出るのが怖いからといって避け続けるのは楽ですが、それでは外に出ることにずっと怯えて引きこもりになっていたかもしれません。家が見える範囲までとかでも良いので、ちょっとずつでも外に出る時間を作った方が良いですよ。

大丈夫だと言い聞かせる

不安になった時、吐き気が起こった時に深呼吸をしながら「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせていると楽になります。

安直な方法ですが、コレって結構効果ありますよ。

周りに人がいる時とかは、心の中で唱え続けることで、落ち着けていました。

私の場合は、深呼吸をしている間は気分が楽になると思い込むことで、吐き気を抑え込むのに成功していましたので、試してみてください。

頭の中で吐く練習する

実際はどうなのか分かりませんが、私は結構効果があったので紹介します。

それは、頭の中で吐く練習をする方法です。要するにイメージトレーニングですね。

実際に吐いてみた方が早いと思い、何度か挑戦しようとしましたが、やっぱり無理だったのでイメトレにしました。

最初はすごく怖く、想像すらしたくないと頭を振って消そうとしていたのですが、少しずつ「こんな感じだったかな」と、過去の経験を思い出しながら頭の中で練習していました。

そうすると、「吐くのってそんなに苦しくなかったかも」というように、徐々に怖さが和らいでいきました。

頻繁にイメージするもんだから、吐く夢を何回も見ました。

ですが、夢だから苦しみもほとんどなく、起きた時に「結構楽だったな」と振り返ることで、吐くことに対する抵抗を弱めることに成功しました。

この方法は、克服に大きく近づくと同時に、恐怖に立ち向かわなければならないので、どのタイミングでやるのかが大事だと思います。

私の場合、嘔吐恐怖症が改善してきた頃くらいに始めたのですが、それでも想像するのはやっぱり怖かったです。ですから、すごく怖いのなら、無理にやらない方が良いかもしれません。

実際に吐いていないことを自覚する

私は、吐き気を怖がるようになってから、実際には一度も吐いていなことに気が付きました。

それは、嘔吐恐怖症になってから1年半くらいの頃。

ある時、同居人が「毎日吐き気がきているのに、実際に吐いていないよね」という一言がきっかけでした。

「いつ吐くんだろう…今日かもしれない」と恐れ続けていた私だったのですが、ここ何年も吐いていないことに気が付いたのです。かれこれ5年くらいは吐いていませんし、最後に吐いた時も10年ぶりくらいだったのです。

つまり、15年間で1日しか吐いていないことに対して毎日怯えていたと自覚したら、食べても大丈夫なんじゃないかと思うようになり、徐々に食事の量を増やしていき、今では昔くらいの量を食べられるくらい回復しました。

どれくらいの期間吐いていないのか?最後に吐いた時はどれくらい辛かったのか?を思い出すと、きっと少し楽になるのではないでしょうか。


他にも、ツムラの薬養酒を飲んで食欲増進することで、もっと食べたいという欲求を強くしてみたり、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)という漢方薬を飲んでみたりしました。

半夏厚朴湯は、吐き気や不安神経症、のどの異物感、めまい、動悸などを和らげる効能があります。

今でもたまに出ますが、当時はのどの異物感もひどく、のどの内側が腫れていつか窒息するのではないかと怖かったです。

大きめの梅干しの種がのどに詰まっているかと勘違いするくらい、異物感がひどかったです。

調べてみると、嘔吐恐怖症の人は併発してしまうことがあるそうです。

こうして、色々な方法を試し続けてきた結果、今では吐き気に悩まされることはほとんどなくなりました。もちろん、食べ過ぎた時は気分が悪くなることもありますが(^^;

原因は心の奥に潜んでいた

心の奥に

こういう精神的な問題というのは、体ではなく心のどこかに原因があることが多いそうです。

体調を崩すことでそこに意識を向けさせ、本当にツライことを忘れようとしているのでしょう。

当時の私は、仕事が全然できなことが悩みでした。嘔吐恐怖症に悩んでいた頃は、吐き気こそが一番怖く、仕事ができないことの方がマシだと思っていました。

ですが、私の深層心理では仕事ができない方が辛く怖かったのでしょう。

実際、症状が良くなってからは仕事で悩まされる機会も増え、精神的に追い込まれることも増えました。

今でも仕事の悩みは尽きないのですが、仕事ができる人になりたい!その為に立ち向かいたい!と考えるようになってからは、症状も良くなってきたのです。

ある日突然治ることはないと思いますが、あなたも少しずつ、本当に少しずつからでも自分の本当の悩みと向き合ってみてください。

一番辛いのは最初で、立ち向かうほどに症状も気持ちも楽になってきました。それでも大変なのは変わりありませんが。

一人で立ち向かうのが怖い場合は、信頼できる人や精神科・心療内科に相談してみるのも良いでしょう。

あなたも、まずはできそうな方法から試してみてください。

 

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