2024年の4月から、勤務間インターバル制度が変わるということで、今後の運輸業界がどうなるのかについて議論が行われています。
運輸業界の自動車運転手に対して、11時間以上の勤務間インターバルを行うよう努力義務が設けられるとのこと。
トラックドライバー、バス・タクシーの運転手などは、長時間ぶっ続けで勤務することも少なくありません。
確かに、長時間運転しっぱなしというのは、精神的にも肉体的にも負担は大きいでしょう。
長時間労働による判断力低下、居眠り運転、体調不良などが原因で事故を起こした、というニュースを見たのは1度や2度ではありません。
ここでは、勤務間インターバル制度がどう変わるのか、運輸業界にはどのような影響があるのかなどについてお話します。
ちなみに、勤務間インターバルとは終業から次の勤務までの休息時間のことです。
運輸業界の勤務間インターバル制度の今後
勤務間インターバル制度はこのように変わるそうです。
↓
・9時間以上が義務
・11時間以上とれるように努力する義務
2024年4月から施行となるので、運輸業界はその時までに現状を変えるために努めなければなりません。
企業に直接11時間の休息を求めるのは国内では初めてです。
これは、タクシーやトラックの運転手も同じように変更になる可能性があるとして、議論が展開されているようです。
1日の拘束時間にも変更に
勤務間インターバル制度だけでなく、1日の拘束時間についても変更になります。変更になる部分だけを紹介します。
※拘束時間:始業から終業までの時間。休憩時間を含めた時間
・15時間超の拘束は週に2回まで→14時間超の拘束は週3回まで
1日あたりの拘束時間は最長で15時間と、引き下げられたのは1時間ではあるものの、労働者や経営者によっては大きな変更に感じられるでしょう。
それに加え、長時間の労働は週に3回までになったとはいえ、14時間を超えたところからカウントされるという点も大きな変更ですね。
長距離運転とかで仕方なく長時間の労働が必要になる場合はどうなるのでしょう。
勤務間インターバル制度の変更による運輸業界の課題
運輸業界は長時間労働が慢性化しており、労働者の負担が大きくなっています。
そこだけ切り取ると、労働者にとってはメリットが大きいように感じるかもしれませんが、一概にそうとは言えません。
というのも、歩合制で働いている場合が多いからです。労働時間の減少は、そのまま給料の減少につながってしまいます。
給料を月給制にするとなると、それはそれで経営者に負担がかかります。
人手不足
もう一つの課題は、慢性的な人手不足です。
1日の拘束時間が長く、勤務間インターバルが短いともなれば、なかなか働き手も出てこないでしょう。
制度の変更によって過酷な労働環境が緩和されたとしても、次は収入が低いという壁が立ちはだかります。
その結果として人手不足が解消されない…。と、悪循環から抜け出すのは難しいでしょう。
一方だけ変えても別のところにひずみが出る
拘束時間を短くし、勤務間インターバルを長くする。
運輸業界のことをよく知らない私からすると、最初に聞いた感じでは良いことなのだと思いました。
労働者にとって負担が軽くなるはずですし、負担の軽減によって事故も減るはずだと思いましたから。
ただ、色々調べていくうちにわかったのが、労働時間のことだけ変えようとすると、他のところに負担がかかってしまうということです。
分かりやすいものだと経営者です。
経営者は労働者に対する賃金の問題、労働時間の減少による仕事の割り振りなど、頭を抱えることになると思います。
労働者にとっても、深夜割を適用するためには0時まで高速道路から降りられないという制約があるそうです。そのためにムダな時間を過ごすこともあるみたいです。
拘束時間が長くなっている背景には、このことも関係してそうですね。
また、高速代や燃料費、管理費用が高くなっているにもかかわらず、運賃が変わらないという状況も問題視する声があります。
簡単に言うと、収入は変わらないのに支出だけは高くなっているということです。
労働者の拘束時間を減らしつつ、給料を引き上げるには収入源となる運賃を引き上げる必要がありそうです。
まとめ
普段利用しているスーパーやコンビニなどには、生活に必要な物があり、人々の生活を支えています。
そこにはお店はもちろん、店員さんの収入に繋がるという意味での生活も支えています。その大事な役割を担っているのが運輸業界です。
そうやって考えると、もう少し良い待遇の仕事でも良いような気がしてきました。
勤務間インターバル制度や拘束時間を変更するだけでなく、多くの人が納得できるようにあらゆる部分を変えていって欲しいですね。